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さて、塩山をあとにした私たちはオルトドックス(ルーマニア正教)の教会を見学に行くことにした。その教会はとても高い山の頂きにあり、罪の許しを乞う信者さんたちが歩いて登るという山道をルンカヌさん運転するベンツで一気に駆け上がって行く・・・・。 着いてみると、聖堂にも修道院にも人影はなく、しん と静まり返っている。聖堂に入ってみるが我々以外にだれもいない。「いか」と「かゆ」以外は全員が(宗派はちがうが)クリスチャンである、それぞれにお祈りをする。「いか」と「かゆ」はそれをただ見ていただけだったが、やはりどことなく神妙な面持ちであった。オルトドックスの特徴であろうか、お祈りの時にロウソクを灯すのであるが、そのロウソクが置いてある箱のようなものがあり、妻とチプリアン、ルンカヌさんが各々ロウソクを取り、お金を箱に入れている。ロウソク4〜5本に、そんなに払わなくてもいいだろうと思うようなお金を箱に入れる。そんなことして誰かにお金を取られないのか・・・・と、私の邪推を見透かしたように妻が 「この場所から盗むことはできないわ、その人が本当に必要としているのならただ持って行けばいいのよ」 と言う。・・・・・・・、なんだかいいなぁ、こういうのって。 それにしても静かだ、静寂とはこういうことを言うのだろう。まさに、祈りと瞑想にはもってこいの場所だ。抜けるような青空と吹きぬける風が心地よい、楽園だね。 教会見学を終え、ホテルへ帰る。カーエアコンもエアーフレッシュも必要ない、窓を開ければ18度くらいの風が吹き込み、香木の香りを届けてくれる。自然の恵みとはすごいものだ。なんとも贅沢なドライブであった。 ホテルに戻ったのはもう5時ちかくだったが、まだまだ明るい。ホテルに着くと開口一番 「今夜のライブ、リハーサルは何時からなの?」 と、「いか」 「夕方頃かな、まあ陽が沈む前だよ」 と、私 「いや、だから 何時 かって訊いてるんだけど」 時計がなければ生きていけない哀れな街東京に住む「いか」は少しイライラしているようだ・・・・。 「じゃ、本番は何時からになってるの」 「夜だよ、月が昇ったら始まるかな」 「ちょっと待ってくれよ、街中に宣伝した正式なライブなんだろ?開演時間が決まってないの!?」 「だから、夜だってば」 ここは日本ではないのだ、キチッ、キチッと時間割りをしろなんて、そんな無茶を言われても困る。ジプシーオーケストラは陽が沈む前にやって来ると約束してくれたのだ、月が昇ればラウタリの歌を歌い、飲んで踊ろう・・・・、それだけのことだ。ここでは時計は役に立たないのだ。 そんな頃、妻の携帯電話に悪い報せがはいってきた、たった今叔父さんが亡くなったというのだ・・・・。まあ、妻には叔父さんが40人くらいいて、それほど親密な付き合いではなかったようで、葬儀にも行かないと言うが、やはり悲しいものではある。 まだ明るいのだが、レストランに行ってみた。するとオーケストラはもう来ていた。たった1人だけ客がいる。ジプシーの男だ。仕事で成功したらしくゴキゲンで飲んでいる。たった1人でも客がいるいじょう、リハーサルなどできはしない。ジプシーオーケストラが全力で男の成功を称え、男はラウタリへのお礼に札束をまき散らす・・・・。よかったな兄弟!!、とばかりに妻も娘もチプリアンもルンカヌも、もちろん私も踊りだす。成功したジプシーへの当然の祝福の踊り、即ち祝福の祈りである。男はますます札束をまき散らす・・・・。「いか」と「かゆ」は何が起こったのか訳がわからない様子だ。 「リハーサルはどうなったの?」 「そんなものもうどうだっていいよ・・・・」 「いか」よ、「かゆ」よ、どうして踊らないんだ?兄弟が成功したんだぜ、祝福してやろうじゃないか・・・。ああ、ギターのニコライが嬉しそうにフェンダーのストラトキャスターを弾きながら私に笑いかけている。やっぱり、いい音だね。 突然、演奏からニコライが抜け出す (もちろん残りのメンバーで演奏は続く)。私たちにこっちへ来いと言っている。彼は私たちをレストランの奥へ案内した。そこは個室になった特別室で、特別な(この地方伝統の)ジプシー料理が用意されていた。 「ギターのお礼だ」と言い、奥さんと子供全員を連れてきて私たちをもてなしてくれる。最大級の感謝の表現だ。私は彼を抱きしめ、奥さんの手にキスをして、早速ごちそうになる。 こうなると私の妻もだまってはいない、ジプシーには部族みたいなものがあるのだが、妻の属するジプシー部族の伝統料理をレストランのシェフにかけあって作らせ、山のような赤ワインとともに(日本流に言えば、のしつけて)お返しする。もちろん全員ですべて平らげる・・・・、のが礼儀なのだが、「いか」と「かゆ」は 今はそんなおなかがすいてない、とか こんなにたくさんは食べられない、 とかカロリーオーバーが云々・・・・とか、言い出す始末。私がすまなそうにニコライを見ると (分かってるよ・・・)と言いたそうな表情で苦笑いしている。まあ、私が異邦人をジプシーに紹介することはもう金輪際2度とないだろう・・・・。やはりジプシーの世界にジプシー以外の者が入ること自体、無理があることだったのだ・・・・、この旅で私は自分がジプシーであることをはっきりと感じた。国籍は日本であるが、私はもう日本人ではなくなってしまったのだ。私はジプシーだ。それにしても、正当な理由が無い限りどんなに金を積まれても決して作ってもらえない貴重な料理だったのに・・・・・、それよりもなによりもジプシーの礼儀を軽んじたことに対する憤りは私も感じていた。私ならたとい腹が裂けようとも平らげて見せる。日本人であると同時にジプシーの夫でもある私だってこれでもジプシーのはしくれだ、ジプシーの掟を破るくらいなら死を選ぶ。妻は料理に口をつけない2人に対し自分の料理にフォークを突き刺して抗議したが、「どうしてジェームズの奥さん、フォークをあんなふうに刺してるの?」と訊かれ、私は説明する気にもならなかった・・・・。 とにかく、私もニコライも出された食事を平らげ、パンパンになったお腹でステージに戻る。日本の歌なども紹介しつつの共演は大いにうけたようだ。最後はやはりラウタリのジプシー音楽にあわせてお客さん全員で踊りだす。そして、すべてが終わった・・・・・、と思った瞬間、オーケストラは葬送の歌を演奏し始めた。それは葬送曲とは思えないほどダンサブルで明るいメロディーの歌だった。おそらく誰かから妻の叔父さんのことを聞いて演奏してくれたのだろう。レストランに残っていたジプシー全員が事情を察して踊りだす。外から戻って来て踊る人もいる、シェフもメイドも踊りだす・・・・。私は妻と2人で踊る。妻は私にしがみつき歯を食いしばって笑っている。 「私は好きだから旅をしてきたのだ 今日からは寒さも空腹もない世界で 大好きな旅が好きなだけできるのだ さあ歌おう、さあ踊ろう 明るく送ってくれ また会う日まで、あんたたちもいい旅を・・・・」 叔父さんの声はそれを代弁する歌となって届いた。ありがとう、ラウタリの兄弟たち、素晴らしい夜になった、本当にありがとう。 食事の客が全員帰ってから私たちはオーケストラのみんなと飲みなおした。真剣に語ったり笑ったり、貴重な話や面白い話が次々にでてきたはずなのだが、酔っ払っていた私はほとんど何も覚えていない。ただ、 (もう、この人たちと会うことはないのかなぁ・・・) と、思った時、ニコライが 「この次は俺の家に来い、2人でギターを弾こうぜ、兄弟」 と言って帰って行ったことだけは覚えている。 モルドヴァで初めてコンサートを行った日本人、私たちの出演料は一千万レイ!!・・・・・約3万円なり。(当時、ルーマニア人の平均月収約2万円)、どうだい、けっこう俺たちもやるもんだろ?! 叔父さんの死をまだよく理解できない娘が機嫌よく眠ったあと、妻は私のベッドに入って来た。私は朝まで私の腕で眠る妻のからだを撫でていた。そりゃ、淋しいよな。 |
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ジョージアでベンツ!!締め切り迫る〜〜!
知ってる?知ってる?? ...続きを見る |
ジョージアでベンツ 2007/03/10 00:14 |
敵対している2人・・戸田恵梨香と鈴木えみ。。この2人は・・・
昨年公開の映画「デスノート」(⇒こちら )ではヒロインを演じ、4月スタートのドラマ「ライアーゲーム」で初主演が決まるなど、大ブレイク中の若手女優・戸田恵梨香 (18)。 ...続きを見る |
敵対している2人・・戸田恵梨香と鈴木えみ... 2007/03/12 00:53 |
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